愛を知らないあなたに
「・・・・・・せんっ・・・」


あたしは小さく呟くように言葉を紡いだ。

できるだけ涙を見せないように、俯いて。




「なんでも、ありませんっ・・・・・・。

す、すみませんでした・・・っ・・・・・・・。」


それだけ言うと、あたしはくるりと回れ右をして、ダッと駆け出した。



唖然としている琥珀様と、ニヤリと笑った薺さんを残して。




神社の外に出た。

鳥居の傍に体育座りをして、膝の上に額をつけた。


あぁ・・・・・・もう、嫌だぁ・・・。



ぽろぽろと、面白いくらいに涙が溢れるのをそのままに、あたしは泣き続けた。

嗚咽を殺す事もせずに。



馬鹿。

琥珀様の馬鹿ぁー・・・。




「ふぇ・・・ん・・・・・・」


ふるふると小刻みに身体を震わせながら、あたしは泣き続けた。


うああん、失恋決定だぁ。




――とか思った時。



「リンも大変だねぇ。」


なんてのんびりした声が聞こえた。



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