愛を知らないあなたに
「あと少ししかないと、分かっているからです。」



鬼様は、あたしをただじっと見つめる。




「あたしの命は、あと少ししかないのでしょう?

鬼様は、あたしを食うのでしょう?


ですから・・・・・・最後かもしれないから・・・

喋るのです。


もう、生きているものと喋れなくなるから・・・

だから、喋るのです。



それがたとえ、あたしを食うものであろうと。



あたしの存在を、認めてくれるかぎり。

あたしは、そのものと言葉を交わしたいと思うのです。」





明日の朝。


あたしは人ではなく、ただのモノになるのかもしれない。



ならば、この時を大切にしたい。


この時を、怖れて怯えて震えて・・・終わりにしたくはない。




確かに鬼様は怖い。


けれど、この時が大切なんだ。




だから喋る。


あたしは今、確かに生きていると確認するために。





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