愛を知らないあなたに
ぐしょぐしょな顔のまま横を見れば。

やっぱりというかなんというか、タマがいた。


ぼやけた視界の中のタマは、うっすら微笑んだ気がした。


「リンは・・・・・・本当に、好きなんだね。」



何をかなんて、言わずとも分かる。


琥珀様っ・・・・・・・・・。

タマの言葉に、更に涙が溢れる。



「・・・ふえっ・・・・・う、うくっ・・・うぇーん・・・」


「よしよし。」


タマがあたしの頭を、優しく撫でる。

慈しむような視線に、さっきまでの我慢が、ほろほろと崩れていく。




絡められた腕。

交わっていた視線。

『友達よりもふかーい関係』

綺麗な薺さん。

全てを肯定した、琥珀様。



脳裏に蘇る光景が、あまりに美しくて、素敵で。

お似合いな2人に、胸がギシギシきしむよう。





あたしの想いが叶わないと、もはや断定できる状況。



・・・でも、それでも。

琥珀様への気持ちが変わらないなんて・・・。



あぁ、もう・・・本当、いい加減にしなよ凜・・・・・・。




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