愛を知らないあなたに
「ふっ・・・はぁっ・・・・・・よか、ったぁ・・・」


心底ほっとしたあたしは、へにゃぁーっと緩む頬を押さえられなかった。




「あたし、まだ・・・望みあるんだぁ・・・。」


あたしの緩みまくった顔を見て、タマもふふっと笑ってくれた。



「リンは本当に真っ直ぐだねぇ。」


しみじみとした呟きに、あたしは首を傾げる。



「そうかなぁ。

あたし、そんな真っ直ぐだとは思えないけどなぁ・・・。」


呟くように言えば、タマがふわりと微笑んだ。




「わらわの価値観で言えば、ということだよ。

純粋さと真っ直ぐさだけの生き物なんて、存在しないのだから。


けれど、それでもリンは真っ直ぐだと・・・

わらわがそう思っただけ。」



どこか大人びた声に、ドキリとした。


タマの外見らしからぬ口調。

時々、タマってもの凄く大人に見えるよね・・・。



なんだかドギマギしながらも、あたしは曖昧に頷いた。


「あ、ありがとう・・・そう、思ってくれて。」


「どーいたしまして～」



あ、今の返事はいつも通りだ・・・。

ほっと息をつくと、ふと疑問が浮かんできた。




< 223 / 377 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop