愛を知らないあなたに
奥へ行くと、かすかに声が聞こえた。



「琥珀・・・・・・駄目?」


思わず、動きが止まった。

あまりに色っぽい、甘ったるい声。



何のことかなんて、分からない。

けど、胸の中がもやもやし始めた。



何をしてるの?

なんでそんな声を出してるの?


これでもかというほど、疑問が渦巻く。

それでもあたしは動けなかった。


すぐ近くの広間を、覗く勇気なんて、なかった。




あぁ、でも、気になる。

バクバクバクバクと、急き立てるように鼓動が刻まれる。



どうしよう・・・・・・・・・


呆然と思った時だった。





「今はまだ駄目だ。

だが、夜ならば別に良い。

そもそも、“それ”は夜に行うものだろう?」



いつもとなんら変わらない、淡々とした琥珀様の声が聞こえたのは。







――――――え・・・?



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