愛を知らないあなたに
帯を掴む力が強くなる。

全てを吐き出すように、タマが言葉を紡ぐ。




「好きだとどれほどわらわが思っても。


座敷わらしと気付いてこわがる人がいて。

己の欲を叶えろと必死にたのみはじめる人がいて。


それは人だけではなくて・・・。」




タマが、涙でぐしゃぐしゃの顔をあげた。


ふにゃあって、力が抜けたみたいに笑う。







「ありがとぉ。

タマ、神様とか関係なしに好きって言ってもらったの、初めて。」



「・・・・・・っうん。」




なんだか、泣きそうになった。



ねぇ、タマ。

タマ一体どれほど、出会いと別れを繰り返した?


どれほど、寂しいって思った?





『本当は誰とも離れたくなかった!

ずっとずぅっと一緒にいたかった!』



・・・・・・・・・ごめん。タマ。





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