愛を知らないあなたに
身体に呪いをかけたのは、あの術者で。


おそらく――

心に呪いをかけたのは、あの男だ。




呪いは解けない。

どれほど時がたっても。



まぁ・・・そこまで時がたってるわけではないが。





未だに寝息をたてている薺を見て、ぽんぽんと頭をなでる。



でも、3年はたったぞ、薺。

いい加減寝言の新太郎様はやめろ。

赫がいつまでたっても安心できないぞ。





「・・・・・・ん・・・琥珀?」


「起きたか。」



胸のうちで呟いていれば、薺がむっくりと起き上がった。


ふわりとあくびをする。




「あぁー、よく寝たぁ。

ほんっと琥珀の存在助かるわ。」


「そうか。」



頷きつつ、立ち上がる。



「どしたの?もうちょっとのんびりしたら?」




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