愛を知らないあなたに
どこか自嘲気に言って、薺が俺に笑いかける。



「ほらほら、行きな。

今すぐ凜ちゃんのとこに行きたいっていうの、図星なんでしょ?

凜ちゃんもきっと、あたしよりは琥珀と先に会いたいと思ってるよ。」


「・・・行ってくる。」



短く応じ、歩き始める。

薺とここに来るまでいた空間を、目指す。




タマが、俺に笑って言ったから。


『琥珀。リンのことが気になるんなら、こっちにもどってきて。

わらわがリンのことつれもどしとくから。』と。



あのタマの絶対的な笑顔からして、タマは言葉通りに動いたはずだ。





だから――





「うあぁあああん!リンーーーー!!!

親友とか言って、わらわを泣かせないでよぉー!」


「泣け泣け!タマは我慢しなくていいんだからっ!」


「うぁああああん!リンーーーー!!!」


「タマぁーーーー!!!」








―――・・・なにがあった?





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