愛を知らないあなたに
なぜか生贄とタマが抱き合って号泣しているのだが。



そして更に――






「危なかった・・・危なかったぁあああ!!!」



リョクまでもがおいおい泣いている。




本当になにがあったのだ?


首を捻っていると、リョクが俺に気付き、抱きついてきた。




「うわああん!琥珀聞いてよぉー!」


「えぇ!?琥珀様っ!?」




リョクが話し始める前に、バッと生贄が俺のほうに顔を向けて・・・絶句した。



「なんだその幽霊を見るような目は。」


「い、い、いいいえ。別に、心の準備ができてないとかそういうわけではなく!」



・・・微妙に話がかみ合っていない気がするのだが。



「心の準備とはなんだ?」


「ちょ、直球!?直球できちゃいますか!?」


「聞いてはいけなかったか?」


「い、いえ!そういうことではなく・・・いや、そういうことか?」





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