愛を知らないあなたに
俺が首を傾げると、タマが更に困った顔をした。



「うーん。いいとこいってるようないってないような・・・。」


「ドキドキした自分ドンマイ。」


タマの歯切れ悪い声の後、生贄がさらりとどこか遠い目をして言った。



「どきどき・・・?」


「うわあああ!!!琥珀様!お気になさらず!

それより、りょっちゃんがなんか言ってましたよね?!ね!りょっちゃん?」


「う、うん。

またお皿のお水がなくなっちゃって・・・ボク、また、干からびちゃったんだよぉ!!!」



リョクが俺に抱きついてきた。


「干からびたって、またか?」


「うんー」


「・・・呪いのせいか?」



俺の言葉に、リョクが頷いたのが伝わってきた。


視線を送れば、タマは厳粛に頷く。




俺はつと目を細め、リョクの頭のお皿にたぷんたぷんに満ちている水を見つめた。





「リョク・・・注意を怠るな。」


「はい。」


リョクは素直に頷いた。




< 272 / 377 >

この作品をシェア

pagetop