愛を知らないあなたに
目を瞬いた。


刺々しいのにほんの少し震えてる声に、戸惑う。

そして戸惑った自分に、動揺する。



「あたしをナメないで。

そこらの人間といっしょくたにしないでよ。

あたしは、凜。

妖怪だとか関係なしに皆が大切なの。


いい加減、あたしをちゃんと見て。」




澄んだ黒い瞳が真っ直ぐに向けられて――次の瞬間、ハッとしたように生贄は俯いた。



「・・・す、みません、つい、ご無礼な事を・・・・・・・」



弱弱しい声。


その声を聞いたとき、何かを考えるより先に、言葉が飛び出した。







「リン」



気がついたら呼んでいた。


ぱっと生贄――リンが顔を上げる。



「えっ」


「リン」


「琥珀様・・・?」


リンが、目を真ん丸に見開いていた。





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