愛を知らないあなたに
「だぁってさ~どうする薺ー?」


あたしの言葉を聞いたタマが唐突にあたしにむかって・・・いや。

あたしの背後に立っていた薺さんに向かって言った。




「な、薺さん!いつの間に・・・」


「リンちゃんのあたしを見て発言くらいからかな?」


「けっこう前じゃないですかソレ!!!」


「うん。気付かないリンちゃんってすごいね。」



にっこり。

って、目が笑ってない気がするんですけどっ・・・!!!


「いやぁー、にしてもまさかあんなあっつい場面に遭遇するとはねぇ。」


「わ、わ、わ、忘れてくだ「忘れないよ」」



さらりと被せられた声は、凜としていて。

思わず口をつぐんだ。




「妖怪とか人間とか関係ないって証明してくれた瞬間だ。

誰が忘れるか。」




薺さん・・・なんで。

なんで、泣きそうな顔してるんですか?



何かに耐えるようにきゅっと結ばれた口元。

眉間にしわを寄せる眉。


潤んだように光る瞳は、だけど真っ直ぐあたしを見ていた。



ふわりと、薺さんがあたしに微笑みかける。




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