愛を知らないあなたに
ぱくぱくと口を動かし、ぐわぁっと目を見開いたまま、あたりを見回す。

出店、出店、出店、人、人、人、人、人・・・。



都――つまりは、この国を統べる皇帝がすんでいる城のある所。


これまで一度もそんな華やかな場所に来たことはなかったから、ハッキリとはわからない。



けど、たぶん、たぶんここは、都だ。


しかも、都の中でも最も城に近い町――城下町、だ。



だって、目の前に、大きく美しい、城が見える。





ごくんっとつばを飲み込む。


圧倒されそうになる。

見るからに裕福そうな人々の波に。



どうして・・・どうしてこんなところに?





「ぷっはー!

もー!琥珀ぐらいじりきで来てくれたっていいじゃんー!」


この、声は・・・




「タマっ!!!」


「あ、リンごめんね~。

琥珀がじりきで来てくれなかったからわらわおくれちゃったの。」


「・・・まさか本当に連れてくるとは思わなかった。」


「えー?何言ってんの琥珀。わらわはじょーだんでこんなこと言わないよー?」




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