愛を知らないあなたに
「なんでそんな人がりょっちゃんに・・・」


あまりの世界の違いに驚きながら呟けば、薺さんがどこか皮肉っぽく笑った。




「あたしが愛して・・・一時はあたしを愛してくれた男が、この国の皇帝だったから、さ。」









―――は



「はああああああああああ!!!??」



叫んだ。

叫んだともさ。


ホラ見て。

道行く人々からの何この娘的な視線が痛いぜ☆・・・じゃなくって!!!





「何それ聞いてない!」


「言ってないもん。」



薺さん、そんな・・・!!!


あたしは思わず額に手をあてた。






世界が、違いすぎるんだって・・・!


あたしはちっこい村の、嫌われ者の貧乏な生贄で。

都にだって初めて来たわけで・・・!





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