愛を知らないあなたに
むむ?と首を傾げた。



「弥助、まだ生きてたのだな。」


しみじみと呟いたのは琥珀様。



「おいおい琥珀ー。テメェ、会うたびに勝手に俺を殺すなよ。」


「いつもしぶといと思っている。さっさとくたばればよいのに。」


「・・・なぁ、それ軽く俺に死ねって言ってねーか?」



厨房のほうから、苦笑いを含んだ声が届く。


タマも薺さんもりょっちゃんもケラケラ笑った。


琥珀様は無表情で淡々と言う。


「いや?別に死ねとは思ってないが、くたばった方がはるかに楽だろう?」


「あぁまーなぁ。けど、俺も諦めつかねぇんだよ。悪いけど。」


「残念だな。」


「・・・真面目に言われると複雑だな。」



言いながら遠い目をした弥助さんが厨房から戻ってきた。


なんか、あまり見たことのない派手な橙色のつなぎを持ってる。




あたしの視線に気付いたらしく、にっと笑って説明してくれた。



「これはな、城の出入りが許されてる唯一の行商団体・・・マルクの奴らしか着れないつなぎなんだ。」


「えぇ!?弥助さんってその行商団体の仲間なんですか?」


「え、違うけど。」


「えぇ!!???」



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