愛を知らないあなたに
「なぜ怒るのだ?」



――しかし琥珀様はあたしの気持ちなど露知らず、あっさりと言った。


あたしは、途端に叫ぶのをやめて琥珀様を凝視する。



・・・つ、つまり。怒ることではないと?じ、事実だと?


そ、そりゃまぁあたしは痩せてて全然胸とかないけどっ・・・



「リンはそのままで充分いいだろう。」


「へ。」




突然告げられた予想外のことに、思わずぽかんと口を開けた。



「なぜ何も知らぬ奴から言われたことを真に受けて、怒るのだ?

流せばよい。

そんな奴のいうことなど、真実ではない。」



ふっと、琥珀様が笑う。





「リンは哀れではない。

いい奴だ。俺が断言する。」


「こ、はくさま・・・」




心がふんわり温かくなる。


琥珀様の一言一言が、あたしの中で夜空の星のようにキラキラ輝いた。



「ありがとうございますっ・・・。」


――やっぱりあたしは、あなたのことが大好きです。




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