愛を知らないあなたに
鬼様はあたしを真っ直ぐに見据えた。

琥珀のような瞳が、冷たくあたしに向けられる。




「お前は、怖いもの知らずだ。」









絶対零度の声は、何の感情も見せずに。



ただただ、事実を述べる。








あたしは・・・・・・怖いもの知らずなの?









――違う。


違うよ。




「違います。あたしは怖いもの知らずではありません。

だいたい!あの狐だって間違えるかもしれないじゃないですか!!!」



大きな声で、睨むように鬼を見ながら言った。


鬼様は何の感情もこめずに、淡々と応じる。



「俺を睨めるのだ。

充分怖いもの知らずだろう。」





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