愛を知らないあなたに
すっと、皇帝の後ろと横に警備の者らしき男達がついた。

全員随分と屈強そうだ。


ギラギラと獲物を捕獲する猛獣さながらの視線を俺らに向ける。



・・・・・・まったく。


「面倒臭いな・・・。」


「は、」


「俺たちは別に、新之助殿に危害を加えようとやってきたわけではない。

ただ単に、仲間の呪いを、あの術師に解いてもらいに来ただけで・・・」


「女天狗の呪いを解くのは、許さぬぞ」


「薺ではない。・・・だが。」



俺は、皇帝を思わず見た。


――なぜ。




「なぜそこまで執着するのだ?」


「な、執着してなどっ・・・!」


「執着しているだろう。でなければ、呪いをかけたりはせぬ。」


「憎んでいるからだっ!!!

お前の仲間が女天狗の仲間でもあるならば、その者の呪いを解くのも許さぬ!」


「――第12代皇帝。」



スッと、それまで俺の後ろにいた薺が、皇帝に近づいた。


真っ直ぐに、皇帝の瞳を見据える。



そして・・・深々と、頭を下げた。




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