愛を知らないあなたに
第四章

過去

◆薺side◇



―――全ての始まりは、5年前。







「いらっしゃーせー」


「おいおい薺ちゃん!もう少し可愛く頼むよ。」


「これが精一杯です。」


「んなアホな。」


「本当なんですよ。」



人間の世界に興味があった私は、都の酒場で店員として働き始めたばかりだった。





「アハハ!薺ちゃんおもしれぇなぁ。」


「店長!常連の喜多(キタ)さんには好評です!」


「喜多さんは変わり者だからなぁ・・・。」


「アハハ!薺ちゃんおもしれぇなぁ。」


「店長!喜多さんが同じこと繰り返してます!」


「喜多さんは酔うと同じ事ばっか繰り返すからなぁ・・・。」


「アハハ!薺ちゃんおもしれぇなぁ。アハハ!薺ちゃんおもしれぇなぁ。アハハ!薺ちゃんおもしれぇなぁ・・・」



え、もう酔ったの?早くない?

・・・繰り返してるけど。


喜多さんは酔いやすいってことかしら。





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