愛を知らないあなたに
「まぁそりゃーただの店員には、んなこた言わねぇわな。」


「じゃあ、なんで今は言ったんですか・・・。」


「なんでって、そりゃ、皇帝が薺ちゃんくどいたからだろー?

ひゃはは!薺ちゃんわからねぇなんておもしれぇなぁ!」




けなしてる?

喜多さん、あたしのことけなしてる?



「喜多、彼女をそんなにからかうな。」





――すっ、と。


皇帝があたしのすぐ傍に来て、言った。




う、わぉう。



「し、新之助様っ・・・」


「やっぱ気に入られてるんじゃねぇか薺ちゃん!ひゅーひゅー♪」


「や、喜多さん、そんな・・・」


「―――悪いか?」



すぅっと、耳に流れてきたのは、どことなく真剣な声。



「俺が薺を気に入るのは、悪いか?喜多。」





ドクンッ


心臓が跳ねた気がした。





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