愛を知らないあなたに
「わぁ・・・!」


黄緑と白の、綺麗な模様が見えた。




「万華鏡を見るのは初めてかい?
お気に召したようで何より!」


「 こうやって回すと、見える模様が変わるぞ。」


「本当だ!ふわぁ、綺麗〜。」


あたしの手に皇帝の手が添えられ、マンゲキョウ?がスルスル回る。

それにそって、模様も変わっていく。


すごい。こんなの初めて見た。



あたしは、名残惜しく思いながらも、そっと万華鏡から手を離す。

皇帝とおじいちゃんを見て、言った。




「見せてくださり、ありがとうございます!」


「ははっ。そう思ってもらえるなんて、万華鏡屋の本望じゃな!」



おじいちゃんは朗らかに笑ってくれて、あたしはなんだかすごく嬉しくなった。

笑みがこぼれた。



ほんわかした雰囲気に浸っているとーー





「うむ。薺、やはり俺と共に城に来ないか?」


「・・・へ?」



皇帝が、何やらとんでもないことを言い出した。



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