愛を知らないあなたに
「ははっ・・・。お前ら、なんていうか・・・間抜けだなぁ。」


なんて失礼な。



「お嬢ちゃん。」


おじいちゃんは、微笑んであたしを見た。

柔らかく目尻がタレている、どこか可愛らしい微笑。



「はい。」


「一つ教えるがね、新之助は権力を盾に威張るような奴じゃあない。

民を尊重すること、民の気持ちに寄り添うことが出来ると思っておる。

理不尽な要求を、無理矢理通しはせぬよ。」



おじいちゃんの言葉を、ゆっくりと頭が理解した。

あぁ、納得。


皇帝は、だからあたしを責めたりなじったりしなかったんだ・・・。



「だが・・・新之助がそういう皇帝だからといって、あんなにハッキリ否という民は初めて見た。

お嬢ちゃん、随分と肝がすわっとるね。」



おじいちゃんはにこにこした。


「新之助が惚れるはずだな。」


「なっーー!?」



おじいちゃん、にこにこ顔でなんてこと言うの!



< 354 / 377 >

この作品をシェア

pagetop