愛を知らないあなたに
『絶望しろ。』


どこまでも冷たい、低い声が蘇る。



そう。

あまりに優しげな『お眠り』の後に聞こえた『絶望しろ』の声。

それはひどく冷え冷えとしていて。

背筋がすぅっと寒くなるようだった。




絶望ーー。


元仮面男の記憶。
浅葱さんの過去。

あたしが知らない浅葱さんのこと。




知ったらあたしは、元仮面男の言うように、絶望する?


それとも、元仮面男は、あたしを動揺させるために、言ってるの?




・・・わかんない。

わかんないけど、なんとなくいやぁな感じはする。



そもそも、今あたしは元仮面男の術の中なわけで。

元仮面男の悪口を、言ったら痛い目みたわけで。


この状況ですでに嫌すぎるんですよねぇー!!!




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