愛を知らないあなたに
「はぁぁぁ・・・。」


盛大にため息をついた。

あたしの不注意からだとはいえ、嫌なものは嫌だし、憂鬱なものは憂鬱だ。



あー、なんとかなんないのかな。


これでも一応、雪女の末裔なわけだし。

こう、ビューンとビャーンとバーンと・・・




・・・・・・無理、か。


いや、まぁ、わかってたけども。


雪女の末裔だけど、ほぼ人だし。

体温がちょびっと低いだけだし。



ハッ‼︎!

この低い体温を使って何か・・・‼︎!




「ーー浅葱、若葉。」


不意に。

威厳のある声が、耳に飛び込んできた。



ぴたっと、あたしの思考が止まる。

ついでに、さっきまでぎゃいぎゃい騒いでいた幼い浅葱さんと元仮面男も、動きを止めた。



・・・うわぉ。

ちょっと目を離した隙に、凄いことになってやがる。


浅葱さんも元仮面男も、髪はボサボサ、頰には引っかき傷・・・なんとまぁ、派手にやったなぁ。




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