愛を知らないあなたに
気のせい?

でもーー


どうしても“親子”に見えないんだよ。





「ならば良い。

明日から城の中に私の供として入る。
上手くやれ。」


「御意。」


「りょーかい。」



淡々と言葉が交わされ、その場はお開きとなったっぽい。

浅葱さんと元仮面男がスッと立ち上がり、襖を開けて出て行く。







浅葱さんが襖をぴっちり閉める。


冷ややかにそれを見ていた元仮面男はにやりと笑った。




「相変わらず馬鹿丁寧だな、アサ。」


アサ?

・・・あぁ、“浅葱”だからか。



「ワカ、あんたはテキトーすぎ!

ちょっとは敬いなさいよ。」


「やだよ、あんなエロジジイ。

知ってる?昨日も真昼間から使用人連れ込んで・・・」


「知ってるわよ。わざわざ言わなくたっていいって。」



心底げんなりとした顔で浅葱さんが言った。




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