愛を知らないあなたに
《おぬしの大切な人と鬼を、重ねておるのだな。》



響いた声は、あたしの心をぐらぐら揺らす。



『ほら。おいで、凜。』


浅葱さんの声が蘇る。



鬼様の温もりも思い出す。







《重ねてしまったから、怖れない。


だが、忘れてはならぬのだ。


あやつは鬼だ。

おぬしの大切な人ではない。


あやつは・・・人ではない者だ。

我と同じようにな。》




鳶色の瞳は、真っ直ぐで、鋭くて――息が詰まりそうになる。






《あやつは鬼だということを忘れるな。

あやつは人ではないと忘れるな。


怯え、怖れろ。

あやつには心がない。


おぬしは、いつ食われるか分からない。



そして、あやつがどれほど冷たかろうと・・・

絶望、するな。》




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