愛を知らないあなたに
使用人?

何それ。そんな人までいるの?この部屋もやけに広いし・・・


もしかして浅葱さんって、お嬢様?




ーーでも、あの村にそんなお金持ちなんていなかったはず。


そこまで考えて、ドキッとした。




浅葱さんは、あの村で生まれて、あの村で育ったんじゃないの?


そうあたしに言ったのは、嘘だった・・・?



あの浅葱さんが、あたしの温もりが、唯一の光、が。

嘘をついていた?





なんで?



あたしに嘘をついて何になるっていうの?




あたしは、雪女の末裔だけど、実際は何の力ももたない。

なのになんで、そんな嘘を?







「元仮面男。」



静かに呼びかけた。

あたしの動揺を感じ取っているであろう、全てを知っているという男に。




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