愛を知らないあなたに
それ以上でもそれ以下でもない。




それだけのはずなのだが・・・・・・。





「なぜ、こうもあの生贄が気にかかるのだ・・・。」



どうも解せない。


一体俺はどうしたというのだ。




なぜ、なぜ・・・食わなかった。






俺は、本殿へ繋がる通路の入り口に、ストンと座った。



そして、今は何も無い本殿に目を向ける。







「俺は食うべきなのだ。」



誰にともなく呟いた。





“生贄”は、鬼が食うためのものだ。


ならば俺は食うべきだ。




前は何のためらいもなく食っていたのに。


朝には、食い尽くしていたのに。





< 44 / 377 >

この作品をシェア

pagetop