愛を知らないあなたに
なぜ・・・・・・・食わなかった?




確かにあの生贄は、今までの生贄の中で最も痩せてはいた。


けれど、今までの生贄の中で最も若いのだ。



今まではよくて20代後半くらいであった。


だが、あの生贄は10代だろう。




やはり人間は若い方が美味い。


だとすれば、あまり味に差はないだろう。






「ではなぜ、食いたくないと・・・」




『あたしは・・・鬼様を、嫌ってはいません。』



昨夜の言葉が脳内に蘇る。

驚くほどハッキリとだ。





そしてふと思った。



「・・・・・・困惑、しているのか・・・?」




俺は今。


食事ができぬほどに困惑しているのではあるまいか?



あの生贄が、鬼である俺に向かってあんな風に言ったから・・・





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