愛を知らないあなたに
「・・・・・・・・・っ・・・・・・」



何度も思うけど。

コイツ、本当に鬼?





すやすやと気持ち良さそうに眠っている、無防備なこの姿は、鬼になんか見えない。



たしかに角はある。

髪の毛の色だって、普通とは違う。





だけど・・・・・・



あまりに幼く見える寝顔だ。




美しくて、無防備で。


触れたら壊れてしまいそうな・・・儚さを感じるのはなんで?







「・・・・・・ん・・・」




あたしの気配を察したのだろうか。



鬼様が形のいい眉をひそめた。


長い睫が、かすかに揺れる。





こ、ここは―――撤収だね!





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