愛を知らないあなたに
アハハと苦笑い。



でも、鬼様にも名前があったんだなぁ・・・。


でも、よく考えると普通だよね。

呼びかけるときとか、不便だもんねぇ。




そして、座敷わらしの名づけ親が鬼様だっていうのには、納得。


たしかにあの鬼様ならば、卵好きだからタマとか、単純に名前をつけそう。




「リンー」


「ん?」



タマがちょいちょいと着物の裾を引っ張った。


「リンはいけにえなんだよね?」



さらりと、タマは言った。

確認だというように、あまりに自然に。




大きな黒い瞳が、一直線にあたしを見つめる。


あたしは、コクンと頷いた。




「そうだよ。あたしは、生贄。」


「あー。やっぱりかぁ。」



タマはさほどショックも受けずに、なんでもないことのように頷いた。



「でも、まだ琥珀食べてないんだねぇ。

なんでだろー?」




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