愛を知らないあなたに
・・・・・・・張り切るところではなかったような・・・。


うむ?と、首を傾げていれば。




ひょっこりとリスが木から顔を出した。


そして、あたしの草履を噛んで、ぐいっと引っ張った。



「え?何何?」


首をかしげながらもリスの引っ張った方に足を動かせば。


リスはコクコクと頷いて、てってと歩き出した。




・・・・・・付いて来い、ってこと?


あたしは首をかしげながらも、とりあえずリスの後をついて行った。






すると。



一本の大木の前でリスが止まった。




大木の根元の方には、大の大人が余裕で2人は入れるほどの、大きな穴が開いていた。


奥が見えないほど、穴は深かった。




そしてリスは、その穴を鼻でちょいちょいと差した。


「・・・・・・入れって、こと?」



リスはそうだと言わんばかりに、コクリと頷いた。


どうやら、鬼はこの穴の先にいるらしい。




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