愛を知らないあなたに
「食べれないなら、食べなくてもいいんじゃないかなぁ。」


優しい声だった。

何もかもわかっているというような・・・そんな口調。



『食べれないなら・・・』って、あたしのこと?


あたしは、心臓が口から飛び出そうなほどドキドキし始めたのを感じた。




鬼様は、じっとタマを見つめ、首を振った。


「俺は食べるべきなのだ。」


「そっかぁー。」



タマはあっさり頷いた。


あたしの心臓も、暴れるのを止めて落ち着いてくれた。



そうだ。

あたしは生贄であり、“食べられる”べきなんだ。




タマはまだ微笑んだまま、柔らかい口調で言った。



「でも、そんなに決め付けなくてもいーんじゃない?

“琥珀の”答えは、あせらずにゆっくり出せばいーよ。」


「・・・・・・・・・・・・あぁ。」



鬼様は、少し長い間の後、静かに頷いた。


タマが、満足げに「うむー」と、頷き返す。



あたし・・・・・・まだ、希望はあるの?

ぎゅっと、無意識に浅葱色のネックレスを握り締めた。





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