愛を知らないあなたに
俺の着物にぎゅっとしがみつく生贄を。


なぜだか離したくないと思った。




それは、この生贄の体が冷たくて心地いいからだろうか・・・?


よく、分からぬ。




ただ、この生贄を抱きしめるのは、少し緊張する。


少し力を入れたら壊れてしまいそうなほど、痩せている体だからだ。



こいつ・・・ここに来る前、何か物を食べていたのか?


疑問に思うほどだ。



細い体。

抱きしめているだけで、変に神経を使う。



強すぎないように。


かといって、抱きしているのが分からないのでは駄目だ。

1人だと勘違いをする。






「・・・・・・・・・分からぬ・・・。」



思わず呟いた。



なぜ俺は、この生贄のことをこんなに気にかけているのだ?


ただの生贄だというのに・・・なぜ?



自問するも、答えが出てこなかった。





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