愛を知らないあなたに
どたばたどたばたと、非常にうるさい。

しかも、相撲の後は決まって追いかけっこになり、タマも河童も奇声を発するのだ。


相撲で勝った方が追いかけ、負けた方が逃げるらしい。





「タマてっきり、そのまま琥珀がリンのお着物ぬがすのかなぁとか思ったんだよー。」


「なぜ俺がそんなことをせねばならぬのだ。

こいつは生贄であろう。」


「ふぅん。

ま、琥珀がそう思うならそうなんじゃないー?」



タマはふっと、大人っぽい笑みを浮かべる。

時々、タマが俺より年上であることを、思い知らされる時がある。




「でもー、なんでリン泣いてるのー?」


「・・・・・・・・・分からぬ。」



俺が、小さく呟けば、タマがにこっと笑った。



「琥珀、こんわくしてるねー。」


「・・・・・・・」


「あはは、そんな不本意だって顔しなくてもいーじゃん。」


そんな顔、しているのか?俺・・・。



更に困惑・・・いや、これは狼狽か。


そう、狼狽だ。俺は狼狽しているのだ。

初めて、感情が顔に出ていると言われたから。





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