春よ来い
抵抗むなしく
津山春と家を出る。
「とりあえず離して」
つないだままの手を離そうとする。
「やだ」
津山春がニヤっと笑った。
「ちょっと…津山くん…」
「春でいいよ♪」
津山春が言った。
「…しゆ、春…。手離して欲しいんだけど」
もう一度言ってみる。
「オレの事思い出した?」
「え?」
「ちゃんと会ってたでしょ?」
「あ…」
ぼんやりと…
記憶を辿る…
そう言えば…
美咲さんの家に遊びに行くといつも一緒に遊んだ…