いちごパンツのポートレート

学をはじめ近所の幼馴染は母のことを『優子さん』と呼ぶ。

それは母が自分の事を『おばちゃん』と呼ばせないように……

子供の頃から刷り込みしたからだ。

そして先程の背筋が寒くなる挨拶も

かれこれ10年以上続いている三文(さんもん)芝居。

「はぁーーー」ホント私の周りは食えない奴らだらけだ……

「おいブス、朝から盛大にタメ息か?

これ以上、不幸になったらどうすんだ……」

「朝っぱらから人の家に上がり込んで当然のように【朝食】

食ってる奴に言われたくない」

「ケンカしながら食事をするんじゃない!消化に悪いだろ」

「お父さん、注意するポイント可笑しくない?

娘が赤の他人にブス呼ばわりされてるのに……

……そこはスルーな訳?」

この不毛な会話も当然10年以上続いている訳で、

私の兄弟たちは気分次第で会話に参加したり。

ただニヤニヤと笑って見ているだけで誰も私に同情してはくれない。

朝食が済んでシンクに食器を運んでいたら

「急げ!ブス置いてくぞー」と学が私を呼ぶ。

「どうぞ置いて行ってください」

そう言いながらも慌てて外出準備をして玄関に向かう。


私と学は幼稚園から大学まで同じ学校で学び。

そして就職先まで一緒という最強の腐れ縁で繋がった者同士だったりする。




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