いちごパンツのポートレート

それから暫く経ったある日…

マスターの友人で某電器メーカーの部長をしている秋山さんがお店にやって来た。

秋山さんはお酒とタバコをこよなく愛するマスター同様に素敵なおじさま

カウンターに独りで座りタバコを片手にバーボンを飲むのがお決まりでそれが凄く様になっている…

『枯れ専』ではない優子でも思わず見惚れてしまう程にカッコイイ『大人の男』

常連の秋山さんに『まかない』を特別にお出ししたところ優子の料理を気に入ってくれて、それから秋山さん限定でお相手をするようになった。

私より3つ年上の娘さんがお嫁に行ってしまい寂しいと話す秋山さんは私のことを娘のように思ってくれている。

来年には大学を卒業する私は年内でバイトを辞めるつもりだと話したところ

「優子ちゃんが居なくなったら寂しいなぁー」としみじみと言われて私までとても切なくなってしまった。

「ねぇー優子ちゃん私の部下にとても良い男がいるんだが会ってみないか?

無口だけれど真面目で誠実な男だよ…

私が娘婿に欲しかったくらいにね

残念ながら娘にはもう相手がいたから叶わなかったけれど…

無理にとは言わないけど…どうかな?」

秋山さんの申し出には驚いたし、正直なところまだ結婚を考えてもいない私が会って良いのかも分からなかったけれど…

素敵な秋山さんが娘婿に欲しいと思える人に興味がないとは言えない

もの凄く興味はある

それで思わず「会うだけで良いなら…」と返事をしていた。


< 107 / 161 >

この作品をシェア

pagetop