いちごパンツのポートレート
「オレンジシャーベット…味見してみたいか?」
思ってもみなかった事を蓮にいに言われ動揺する。
「うん…味見してみたいけど…」
それはもちろんどんな味がするのか試してみたい。
でも蓮にいが素直に味見させてくれるなんて思っていなかった。
それなのに…
「ハイ」と私の顔の前に差し出されるオレンジ色のアイス
それでも「ハイ!上げた…」なんて悪戯は毎度のことで
余り期待せず、直ぐに避けられる事も想定して恐る恐る口を近付けるけれどオレンジシャーベットは動かない。
控えめに口にしたアイスは蓮にいの言った通りアイスクリームとかき氷の中間みたいにさっぱりとして爽やかな味がした。
「オレンジジュースみたいで美味しいね」嬉しくてそう感想を口にした私に
ニヤって笑った蓮にいは
「オレにも味見させろ」
そう言ったかと思ったら、あっという間にチョコアイスの半分が蓮にいの口の中に納められた。
「オレンジとチョコの相性は抜群だな!」
満面の笑みでグルメリポーターのような発言をする蓮にいを唖然と見つめている事しか出来なかった。
「舞衣のチョコアイスなのに…」いつもならここで泣き出してしまう位の仕打ちだったけれど…
未知の味に遭遇出来たから良しとします。
そして思ったのはやっぱりチョコアイスが一番好きってこと。
でも今度このお店に来る時は父にアイスクリームショーケースの中を見せて貰おうと心に誓う。