いちごパンツのポートレート

小原家は子沢山で兄妹の年も近いから当然

学費等でお金が必要な時期も被ってくる。

学資保険、奨学金等を利用しても足りない分は当然出て来る訳で……

余り時間を掛けずに実入りの良いバイトを探している時に、

従妹のメミちゃんがバイトの口を利いてくれた。

撮影スタッフの一人として裏方で働くと思っていたら

「これに着替えて」と服を渡される。

ヘアメイクの人は勝手に顔やヘアーを弄っている。

スタイリストの人が服の着こなしを直す

呆気に取られボォーしているうちにメミちゃんの横に立たされていた。

「メミちゃん…騙したの?」

バイトを紹介してくれた恩も忘れて思わず睨み付ける。

「だってーモデルのバイトって言ったら翔…断るでしょ?」

メミちゃんは舌を出して悪びれもせずにそう言ってくる。

「俺、表情乏しいから……モデルなんて出来ないよ」

カメラマンから絶対にクレームが付くに違いないと確信していた俺は……

いつもと変わらず不愛想なままでカメラの前に立って居た。



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