いちごパンツのポートレート
イライラの正体
あの日だけのつもりでいたのに……
中3のあの日から学は朝食も夕食も我が家で一緒に食べるようになった。
困るのは我が家に私以上に馴染んでいること。
私は学に勉強を教わり、
代わりに食事を提供する。
一人っ子の学が小原家では次男になる。
兄からは可愛がられ弟たちからは慕われる、
見ている分には微笑ましい
巻き込まれさえしなければ……
学のお父さんは勉強が好きで会社に入ることはせず大学に残った。
本来ならば大学を辞めなくてはいけなかったらしいけれど……
学が「俺が父さんの代わりに会社に入る」そう言ったと聞く。
おじさんが現在も大学に勤めて好きな事が出来ているのは学のお蔭らしい、
何とも親孝行な息子だ。
中3の時に保留にしていた養子縁組……戸籍上社長の息子となる学の周りが騒がしくなっている。
母から学にお見合い話が沢山きているらしいと聞いた。
取締役候補のお嫁さんの座を狙い今まで以上にアプローチしてくる女子社員が後を絶たない様子だし、
これで晴れて下僕の座を降りることが出来て気分はスッキリのはずなのに……
胸に渦巻くモヤモヤの正体が分からずイライラが募る。