いちごパンツのポートレート
「SSいちごパンツのポートレート」
SS結婚式後の小原家
「重大な発表があります」
そう言ったのは母優子。
「明日から我が家の朝食はパンです!」
「「「えっーーー」」」
家族全員からどよめきが上がる
「だってしょうがないじゃない……舞衣がお嫁に行ったんだから~」
そうことも無げに飄々と事実を伝える優子。
「だったら母さんが和朝食作ってくれよ」
この俺様発言は長男の蓮。
「イヤよ。
もう10年以上舞衣が朝食担当だったから、
ブランクがあり過ぎて、洋朝食ですら心配なのに……
我が儘言うなら菓子パンとコーヒーだけになりますけど、
……いいですか?」
「「「・・・」」」
さすがの俺様も優子には敵わない。
家族全員が黙り込んでしまった……
「それから優衣。
これからも我が家で夕食たべるならあなたも夕食作り手伝いなさい。
息子たちは『母の味』じゃなくて『叔母の味』で育ってるから
ハードル高いわよー
今からしっかり料理も覚えて頑張りなさい」
「……はい」
小さな声で返事をする優衣。
「グスッ…舞衣ねえちゃーん」
突然泣きだす春……
「俺……舞衣ねえと一緒に西園寺家に行ってもいい?」
「「「ダメ!」」」
「俺の大きな体は一杯食べないと体力が持たないのに……どうすんだよー
舞衣ねえは……文句言いながらも俺の好物はいつでも作ってくれたのに、グスッ」
体だけは誰よりも大きい。
でも末っ子で甘え上手な春は悲しげにそう言った……
この日。
小原家の面々は胃袋を通して舞衣との別れを惜しんだ……
……ことを舞衣は知らない。
(おわり)