いちごパンツのポートレート
SS小原家のボス現る!
「ピンポ~ン」
突然来客を知らせる呼び鈴が鳴り響く小原家。
「あの。どちら様ですか?」
そう言いながらドアを開けるとそこには懐かしい顔が私に笑いかけていた。
「舞衣。久しぶり……元気だった?」
「えっ。ヨニちゃんどうしたの……帰って来るって聞いてないよ?」
「うん。内緒にしてたから……早く家に入れてよ」
大きなキャリーケースを玄関に引っ張り上げながらヨニちゃんはそう言った。
小原夜爾(おはらよに)ことヨニちゃんは父の妹で、
私たちの叔母さん……
アメリカで麻酔医師として働くバリバリのキャリアウーマンだ。
心根の優しい人だけど……
過酷な環境で働いている所以か自分にも人にもとても厳しい。
(それでもヨニちゃんの体験談はとにかく面白い……話し上手だしね)
実は呑気な母に育てられた私たち兄妹が唯一緊張して背筋が伸びる思いをするのも、ヨニちゃんの前だったりする。
何しろ、あの俺様蓮兄が裸足で逃げ出す強者ですから……
私は大学2年生の時ヨニちゃんの住むアメリカの家で短期間お世話になった事がある。
バカンスとは程遠かったあの日々の事を……
私は今でも忍耐修練の旅だったと思っている。
母には『ヨニちゃんの食事を毎日作ってあげなさい』と日本から送り出されたのに……
ヨニちゃんは『小原家で作っていた量と同じ分量を1回で作りなさい』と私に言った。
「その方がキッチンも汚れないし、光熱費も安上がりだから……」と
真に受けた私は本当に自宅で作っていた量をヨニちゃんの家で作ってしまう。
……その後料理はどうなったかと言うと