短編集
多分彼女は赤面しているだろう。

めったにない事だから振り向いて見てやりたいが、事故ってしまう危険で振り向けない。

そして何より、俺も赤面していたから。

寄りかかった彼女の温もりが、何よりも心地よい。

ペダルを少し強く踏むと、火照った顔を、夜風が冷やしていく。

二人を乗せた自転車は、星空の下走っていく。

こんな時間が、永遠に続けばいいなんて思いながら。
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