短編集
今に君に傘をさしてあげたら、君の悲しみは少しは和らぐだろう。

でも、心に開いた穴に付け込むのはフェアじゃないから。

今の僕じゃ、昔みたいに無言で君の隣にいる事なんて出来ないから。

だから、空が泣き止むまで見上げていればいい。

僕は入り口のドアの前にただ傘とタオルを置き、ゆっくりと階段を下っていった。

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