空色Loveカラー 〜心の内に秘めた恋〜
期待と不安 悠貴サイド
繰明と会わなくなって……1ヶ月経った。
嗚呼、俺…繰明が居ないとこの世から取り残されるんだなぁ?
なんて思った。
俺…なんてことしちゃったんだろ…。
繰明を泣かせた。
それには変わりないのだから…。
「…俺は繰明を突き放して…何をやりたいんだ」
頭をクシャクシャにして…天を仰ぐ。
「…好きなのに…………」
俺は難病持ち。
もう治らないのは確かだ。
…もし、もしだよ?
結婚したとして、その人のお腹に子供がいるとしよう。
その時に…俺が倒れたり……もしかしたら、死んだりしたら…、奥さんや子供はどーする?
俺は…そう思うと、どうしていーのか分からない。
俺は…恋するには、向いていない。
「……俺の為に…泣かないで」
そんなことないよ?
俺は…
「…俺の為だけにないて欲しい」
その他は、俺が守りたい。
ね?
いいだろ?
俺は結婚願望だけは強い。
浮気されたら、その分を埋めるから…もう浮気はさせない。
尽くしたい。
「…って、俺は…難病持ちだってば」
屋上は俺の癒しだったのに…。
今は辛いだけの場所。
でも……また来てくれる。
そう信じて待つしか出来ない。
…少女漫画では、ココで俺が迎えに行くんだろうけど…。
俺には出来ないんだ。
だって、もう治らない病気なのに。
「…無理なんですよ。繰明が欲しいのはこの俺が一番だ」
なんて…ね。
最近は全く笑えない。
告白も…無視まではいかないけど…、笑顔で返せない。
告白だけは笑顔を向けていた。
他は、無表情を貫き通している。
だから、あんまり目立つことはない。
でも…期待しちゃうことはあるよ?
だから、…今、どうすれば良いのかわからない。
ーー数時間前
『…おい、聞いたか?学校の姫君いんじゃん?』
『学校の姫がどうしたんだよ』
俺が席でウトウトしてる時、偶然聞こえた声。
俺は『姫』に反応して寝るのを辞めた。
『それがさぁ?最近全然笑わないわしいぞ?』
『えっ!?あの子いつでも笑顔って感じじゃんか!』
…確かに。
心の中で納得。
繰明はいつでも、俺に笑顔を向けてくれた。
『最近、笑うとしても…寂しそうに笑うんだって!まぁ、その儚さがギャップ萌えするらしい』
はぁ?
最終的にそこにたどり着くのかよ…。
俺は若干呆れ気味で耳を傾けていた。
『それと聞いたんだけどさ?あ、俺の後輩がだよ?』
『おぉ、どーだったんだ?』
俺はその言葉を聞いた瞬間立ち上がった。
座っていた椅子も、勢いでガタッ!と物凄い音をたてて倒れる。
皆が俺に注目する中で…、俺は皆に笑顔を向けたんだ。
分かんないけど…。
どうして笑顔を向けたのかは不明。
でも、会いに行かなきゃって思った。
『…あたしね?
好きな人に「俺の為に泣かないで」って言われたの。
でもね?
あたし、思うの。
好きだから泣いちゃうし、
好きだから…大好きだから…
一緒に居たいと思うんだよね。
それに…幸せで居て欲しいって思った』
……でも、結局俺には出来なかった。
一緒に居たい。
そんなの俺も一緒に居たい。
好きだから、泣いちゃうの?
俺…勘違いしそうになって…、俺は何故だかココ、屋上に来てたんだ。