好きな人のお母様に恋心がバレました
ちょうど五時ということもあって、他の部署からも帰宅している人が多く、会社の外に出るといつもより混み合っている。
他部署だけれど、私でも知ってるくらい有名なイケメン社員も見かけて、眼福ですな、とホクホクする。
それに比べると、朝霞先輩は
やっぱり地味な方だよなあと思う。
でも、あのイケメンを見るよりも朝霞先輩を見かける方が、よっぽど私はドキドキするんだろうし、悲しいくらい彼のことを気付くと考えてしまうのだ。
私にとって先輩は、やはり格別に魅力的な男なのだ。
例えば、長い前髪の下から上目遣いでじっと見つめられたとき。
私とだけ、楽しそうに話してくれるとき。
至近距離で香る清潔な、コロンの香りを嗅いだとき。
私は先輩の虜になっtーーー…「きゃあっ!!!!」
「わあっ!?」
ドン、という衝撃の後で、目の前でご婦人が転がっておられる。
ぶつかったにも関わらず、私の方はよろめいただけだったので慌てて彼女を助け起こそうと屈んだ。
「す、すすすみませんーー!!!!大丈夫ですか!?
怪我は?立てますか!?」
やばい、完全に自分のモノローグに酔っていた。
先輩への想いをポエムってたツケがこんなとこで回ってくるとは!!!