好きな人のお母様に恋心がバレました


「ところでなんで二人が一緒に?」



朝霞先輩の疑問に早百合さんが答える。



「道に迷ってたら、依さんが私をここまで案内してくれたのよ」



「うわ、また迷ったのかよ……。
宮戸さん、ごめんね。せっかく今日は定時で帰れたのに」



とんだ残業押し付けちゃったね、と謝る先輩に慌てて私は首を横に振る。



「いえ、元はと言えば私が先輩のお母様にぶつかってしまったのが原因なので、先輩が気にすることじゃないです。
それに、お話できて楽しかったです」



えへ、と最後は早百合さんの方を向いて言う。
これは本心だった。
あんな風に女子高生みたいに好きな人の話で盛り上がれることなんてそうそう無い。



すると早百合さんは「私もよ」と笑った。



「あ、そうそう静樹。
はい、これ届けに来たのよ。あんた今日は実家で留守番してくれるって言ってたのに鍵持ってないでしょ」



そして早百合さんはカバンから取り出した鍵を先輩に渡した。



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