好きな人のお母様に恋心がバレました


あれから、ちょっとお話しましょうよ、と早百合さんに言われて半ば強制的に私たちは喫茶店へと入った。



(………どうしよう。
もしかしてうちの息子に貴女は釣り合わないって釘刺されちゃうのかな……)




こ、怖い…、とギュッと目を閉じる。



「そんなに畏まらないで。……というか、いきなりお話しようだなんて、びっくりさせちゃったわよね。
ごめんね、何も依さんを怖がらせようってわけじゃないのよ」



その言葉にそろりと目を開ける。



そこには、
なんの邪気もなく微笑む早百合さん。
さらりと揺れる髪の毛はツヤツヤしていて、お肌も私の母よりピチピチしている気がする。本当に25歳の息子がいるなんて思えない。



その表情になんだか気が抜けた私は、「はい」とへにゃりと笑った。



ちょうど運ばれてきたレモンティーを受け取ると、そっと口をつけた。
同じように早百合さんもコーヒーに口をつけた後で私に向き直る。



……それはそれは、いたずらっ子のような表情で。


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