好きな人のお母様に恋心がバレました
「……まさか、依さんが言う『先輩』が静樹だったなんてねぇ……。
うふ、うふふふふふふふ」
もう楽しくてしょうがないとでもいうように、
この目の前の女性はニヤニヤしっ放しである。
もしも今ここに穴があったなら、私は何が何でも頭から突っ込むだろう。
「う、うぅぅ……恥ずかしすぎる…」
真っ赤に火照った顔をなんとか冷やそうと、アイスティーをほっぺに擦り付ける。
「ず、ずるいですよ早百合さんっ!
そんなにお若く見えるのに先輩のお母様だなんて!!
知ってたら絶対絶対口が裂けてもあんなこと言わなかったのにーーー!」
「そんなこと言わないで。
ちなみに私はすっごく楽しかったわよ!!」
「全くフォローになってないです……」
トホホ、と溜め息を吐くも、
早百合さんはそんな私を目を細めてますます楽しそうに見つめる。
「でも、………嬉しかったのよ、私。
自分の息子があんな風に誰かに好かれてるって、とっても誇らしいものよ」
そして一度言葉を区切る。
しかしその一呼吸は、次の瞬間、彼女の口から吐き出される怒涛の愚痴の前触れであった。